2020.2.6 読了
2009年に発表された、村上春樹の単行本3冊、文庫版では6冊の大長編。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」で村上文学にハマり、次に手を出したのが1Q84でした。
タイトルに惹かれて読み始めたものの、とにかく最初はどういうストーリーか掴みづらい。なのでまずあらすじをまとめていこうと思います。
文庫版1巻 あらすじ
1Q84年――私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう、青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。……ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれ、主人公青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
いや、何の話??という感じであらすじを読んでもいまいちピンときません。
それもそのはず、村上文学は大体がファンタジーであり、謎が数多く存在し、実際にある世界のようでそうでもない。そんな不思議な世界を歩かされているようなものです。
時は1984年、主人公は青豆(あおまめ・女)と天吾(てんご・男)。
青豆はスポーツインストラクター、天吾は数学の予備校講師の傍ら、小説をかいている(プロではない)。
一見この二人は普通そうに見えて普通ではない。
青豆はとある老婦人からの命をうけて結婚相手に暴力をふるうなど、どうしようもない男達を特殊な方法で殺す現代の必殺仕事人であり、天吾は新人賞の応募作に手を加えて世に出すという、どちらかといわなくてもアウトなことを編集者・小松から提案され、それを実行していきます。
それらに関わってくる宗教団体「さきがけ」、謎の新人ふかえり(深田絵里子)、リトル・ピープル、そして二人が迷い込んだ「1Q84年」といういつもの世界のようで、違う世界…
本作は「青豆の章」と「天吾の章」が交互になって話が展開されていきます。
最初は独立した話で、何の関係もないようにみえるこの青豆と天吾…しかし、文庫1巻目の終わりのほうで、二人の関係が明らかになります。
小学4年生のときに偶然クラスが同じだった二人の間にあった、「ある出来事」。しかしそのあと青豆は転校し、二人は音信不通・離れ離れになってしまいます。
それから20年経った今でも、二人は4年生のときに起こった「ある出来事」を記憶し、互いに想い、愛しあっている。その二人は混沌とした「1Q84年」で再び出会えるのか、そういうストーリーになっています。
文庫全6巻というかなり長い物語だったけど、一度波にのってしまえば長さが気にならないくらい、すいすい読める。
5巻(BOOK3)あたりでちょっと勢いがおちたかな?と思ったけど、6巻後半になるとページをめくる手が止まらなくなるほど夢中になれました。
辛いシーンが時折あったけど、こんなロマンチックな話があるだろうか。
個人的にはかなり好きな作品でした。母国語で読めるよろこびに感謝。
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