メカルデンヤ

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全てが新しい古典、「火の鳥」

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2020.8.8 了

誰でも一度は耳にしたことがある手塚治虫の代表作、火の鳥

2018年くらいから少しずつ読んでいて、つい今月、やっと全11巻読破できた。

 

この作品で手塚漫画デビューを果たした自分は、正直、古くさい絵柄と文字ぎゅう詰めの画面、名作と言われ続けていると逆に読む気がしなくなってくる精神が働き、1巻の黎明編はなかなか進まなかった。

が、見事な構成力と人間ドラマに惹かれ、2巻の未来編を読み終えてからは、見事にこの作品の虜になってしまった…

 

タイトルの意味だが、自分がこれまで読んだ漫画の中でも、見たことが無い展開や発想に本当に驚かされる(特にSF色が強い今より未来の話)。この人の頭の中どうなってんだ??

しかも漫画のコマ割りが本当によく作られている。視線誘導が完璧。たびたび出てくるトーンを使っていない、線だけで表現した緻密な背景画には感服するしかない。

 

そして全11巻の中から、個人的に好きだった巻を3つ紹介。

鳳凰編(奈良時代

火の鳥 手塚治虫文庫全集(4)

火の鳥 手塚治虫文庫全集(4)

 

 主人公・我王の人としての成長・強さに感動しっぱなし。両腕を無くしたことよりも自然の美しさに感動して初めて涙するっていう。そんな我王が乱世編にも少し出てきたのでかなり嬉しかった。

 

・太陽編(飛鳥時代、21世紀)

火の鳥 手塚治虫文庫全集(10)

火の鳥 手塚治虫文庫全集(10)

 

この次に現代編が描かれる予定だったが、作者逝去により、これが実質最終巻。読んだばかりなので記憶に新しい。

過去と21世紀が見事につながるラストが圧巻。

最後のコマの台詞「誰にも圧迫されない狗族の世界へ!」はけっこう皮肉だな…。狂っているのは人か地位か。

火の鳥というか手塚作品には、人の力強さと愚かさを痛いほど思い知らされる。

 

・未来編(西暦3404年)

火の鳥 手塚治虫文庫全集(2)

火の鳥 手塚治虫文庫全集(2)

 

初めて読んだときに、頭をカナヅチで殴られたような衝撃を受けた作品。

現在よりはるか千年以上未来の日本が舞台となっているが、手塚治虫の描く未来予想図がかなり生々しく、恐ろしい。戦争を決めるのはAI、そして訪れる人類滅亡。生命を正しく使う事、とは…

もはや全人類が読んだ方がいいんじゃないかというレベル。2巻なのだが、これ単体でも全然読めるので、まずこれだけでも読んで欲しい。

 

いずれにせよ、大体全巻にわたって重い話なので、落ち込んでいるときとかに読むのは注意が必要。